外国人による日本の土地取得の現状スナップショット
外国人による日本の土地取得の現状スナップショット
公開データを基に、森林取得や安全保障関連施設周辺の取引を中心とした外国人・外国企業による土地取得状況を整理しました。取引件数の規模感、関与比率、出身地域構成を俯瞰し、報告制度上の限界にも留意しています。
森林セクターの押さえどころ
1,589ha2017年時点・外国人等が所有
林野庁が把握する森林用地の外国人・外国企業所有面積。地域的には北海道や九州など遠隔地が目立つとされます。
2020年の新規取得ボリューム
2,376ha278区画・外国企業が取得
報道では、登記未完了などにより実数が過小に計上されている可能性が指摘されています。取得主体は投資法人のみならず、資源・エネルギー関連企業も含まれます。
安全保障関連土地のリスクシグナル
2.2%外国人関与率(371件/16,862件)
軍事基地や原発などの周辺取引における外国関与の比率は限定的ながらも無視し得ない規模。モニタリング対象として継続的な追跡が求められます。
出身地域別の構成
外国人買主のうち54.7%が中国系とされ、次点で韓国、台湾が続きます。中国系買主が過半を占める構造は、森林取得やリゾート開発のみならず、安全保障配慮地区の動向分析においても重要な観点です。
- 中国系:54.7%
- その他(韓国、台湾など):45.3%
森林取得規模の比較(公表値)
外国人・外国企業による森林関連の所有・取得面積を公表年で比較。新規取得面積(2020年)は既存所有面積(2017年)を上回る水準に到達しています。
安全保障関連施設周辺取引の内訳(2023年度)
全体件数に対する外国関与件数の割合は低位ながら、監視対象施設が増えれば比率の変化が早期にリスクシグナルとなり得ます。
市場トレンドと留意事項
国土交通省年次報告では、2023年度の全国不動産取引指数が多くの地域でマイナスに転じています。取引活動の鈍化は外国人投資の抑制要因になる一方、局所的な価格調整局面では買い余地が生じやすく、遠隔地やインフラ周辺の案件に資金が流入する可能性が残ります。
公開統計は登記未了や報告義務の範囲制限により全体像を完全には反映していない点に注意が必要です。実態把握には、自治体・登記情報・報道ソースなど複数のモニタリングルートを組み合わせた継続的な検証が求められます。