大阪チタニウムテクノロジーズ 株価暴落分析
5726.T | 大阪チタニウムテクノロジーズ
株価暴落の深層：業績下方修正と米中摩擦の逆風
航空宇宙向け需要の失速、チタン市場の構造的課題に直面
2025年12月08日 発行
Market Snapshot
株価 (12/8終値)
¥1,947
▼ 28% 急落
11/10終値比
-¥568
2515円 → 1947円
営業利益予想 (26/3期)
¥40億
前期比 -60.4%
配当予想
¥15
前期 ¥50 から大幅減配
Stock Price Trend (Nov-Dec 2025)
Earnings Revision Impact
Operating Profit Forecast Waterfall
市場予想
¥99億
修正後予想
¥40億
下方修正幅
-¥59億
減益率
-60.4%
Key Negative Factors
01 / チタン鉱石価格下落
原材料価格の下落が輸出向け販売価格の一時的低下を招き、契約体系のタイムラグにより販売単価が低下し収益性を圧迫
02 / 航空宇宙需要失速
米ボーイング社の品質問題とストライキによる納品遅延の影響で、航空機向けスポンジチタンの売上計上が遅延
03 / 米中貿易摩擦
中国政府による米国製航空機の納入停止政策がサプライチェーンに不透明感をもたらし、直接的な販売減少リスクが発生
04 / 投資判断引き下げ
大手証券会社が「買い」から「中立」へ2段階引き下げ、目標株価も下方修正し、さらなる売りを誘発
05 / 大株主の売却
日本製鉄などの主要大株主が保有株の一部を売却する動きが見られ、機関投資家の売却圧力が高まる
06 / 大幅減配
年間配当予想が前期実績の50円から15円へと70%の減配により、配当投資家の失望売りを強める
Impact Analysis By Factor
Contribution to Revenue Decline
Market Outlook
短期的には、米中関係の改善による航空機需要の回復、チタン鉱石価格の下げ止まり、国内一般産業向け需要の確実な回復が株価回復の鍵となる。長期的には、航空宇宙・EV・医療・再生可能エネルギー分野での需要増加が期待されるが、現状では明確な反発材料に乏しく、事業構造の安定化と収益性の再構築が急務。
Market Structure Risk
チタン市場特有の構造的課題として、価格ボラティリティの高さ、世界的な貿易摩擦によるコスト増、航空機セクターの在庫調整の長期化が挙げられる。
同社が強みとする航空機向けスポンジチタンは、グローバルサプライチェーンの混乱により需要が不安定化。特にボーイング社への依存度の高さが、リスク要因として顕在化している。
一方で、チタン市場全体としては2020年代後半にかけて年平均3-5%の成長が予測されており、自動車（特にEV）、医療機器、再生可能エネルギー分野での新規需要開拓が期待される。
日本企業は技術力と安定したサプライチェーンでグローバル市場において重要な役割を担っており、大阪チタニウムテクノロジーズは長期的な成長期待と短期的な国際政治・市場リスクの狭間で、日本の高度素材技術の真価が問われる局面を迎えている。
Recovery Scenario Timeline