キオクシアHD株価、歴史的暴落の深層：需給と業績のダブルパンチで投資家心理は乱高下

NAND市況回復の遅れと巨額売却の余波

東京 | 2025年12月15日 | 経済部記者清水徹

現在株価

¥9,200

▼ 36.1% 年初来高値比

年初来高値

¥14,405

2025年11月11日

株価下落幅

¥5,205

約1ヶ月で30%超下落

STOCK PRICE TRAJECTORY

株価推移チャート (2025年10月-12月)

EARNINGS SHOCK

四半期決算パフォーマンス

決算失望の詳細

2025年度第2四半期（7-9月期）最終利益：407億円
前年同期比：61.7%減益
上期累計（4-9月）最終利益：589億円（66.5%減）
売上高：7,911億円（前年比13.0%減）

通期業績見通しが市場コンセンサスを約27%下回る低水準で示され、短期モメンタム投資家からの失望売りを誘発

DOUBLE PUNCH FACTORS

株価下落の複合要因分析

ファクター1：決算ショック

11月13日の決算発表後、PTS（私設取引システム）で一時20%超安、翌日の東証ではストップ安水準となる23%の暴落を記録。

NANDフラッシュメモリ価格の継続的な下落と、構造的な需給過剰の長期化を警戒した投資家が一斉に資金を引き揚げた。

ファクター2：巨額売却

11月下旬、大株主であるベインキャピタル系ファンドが保有する3,600万株（約3,500億円相当）をディスカウント価格でブロックトレードにより売却。

この巨額の株式供給が市場に大きな下落圧力を加え、需給悪化懸念が根強く残っている。

ANALYST OUTLOOK

アナリスト予想 vs 現在株価

アナリスト平均目標株価

¥11,533

▲ 25.4% 上昇余地

コンセンサス：「買い」推奨が優勢

RECOVERY SCENARIO

2026年3月期予想

| 指標 | 予想値 | 前期比 | | --- | --- | --- |

| 売上高 | 1.8兆円超 | V字回復 | | 純利益 | 約2,600億円 | 大幅増益 |

成長ドライバー

AI・生成AI向けデータセンター需要の拡大
NANDメモリー搭載量の増加期待
北上工場第2製造棟での次世代3D NAND（第10世代）量産
技術的優位性の確立

リスクファクター

短期的な在庫調整の継続
グローバル半導体市況の回復ペース
金融費用負担の動向
需給の重さに対する市場の警戒感

投資家への示唆

当面は、グローバルな半導体市況の回復ペースと、同社の金融費用負担の動向が株価を左右する主要因となる。285A.Tが調整局面を脱し、本当にファンダメンタルズに基づく上昇軌道に戻れるのか、引き続き冷静な判断が求められる。

KIOXIA HOLDINGS CORP. (285A.T) | TOKYO STOCK EXCHANGE | DATA AS OF 2025/12/15

本資料は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を意図したものではありません