コメ政策論争:短期支援と構造改革の対立軸
米価高騰対策を巡る政策論争:短期支援か、構造改革か
論争の核心:短期的な家計負担軽減 VS. 中長期的な農政構造改革
主要論者による政策提言の対立構造
2025年11月、物価高騰対策としての「おこめ券」活用拡大に対し、政府は「迅速な消費者支援」として推進する一方、専門家や野党からは「非効率な農政の固定化」への警鐘が鳴らされています。
【推進派】政府・JA(短期の即効性を重視)
- **主唱者:**鈴木憲和 農林水産大臣、JA全中 山野会長
- **目的:**子育て世帯や高齢者など、負担の大きい層への迅速かつ確実な家計支援。
- **手段:**地方交付金を活用し、「おこめ券」を推奨事業として配布。
- **評価:**備蓄米の価格介入よりも、ターゲット層への直接支援として優位性がある。
【反対・警鐘派】専門家・野党(中長期の構造改革を要求)
- **主唱者:**本田悦朗 元内閣官房参与、玉木雄一郎 国民民主党代表
- **指摘する問題:**政策の場当たり性、農政の非効率性(減反政策の継続)、税金の重複投入。
- **主張:**直接支援に税金を投入する前に、コメ高騰の根本原因である減反政策の廃止など、抜本的な構造改革を優先すべき。
本田氏が指摘する「本末転倒」の税金循環構造
背景:コメの高止まりの「根本原因」
1. 政府が生産調整(減反政策)を継続
2. コメの生産量が人為的に抑制され、価格が高騰
3. 消費者の家計負担が増大
4. 政府が税金(地方交付金)を投入し、「おこめ券」で消費者負担を補填
本田氏の警鐘: 高い価格を維持(減反)した結果を、また税金で補填する非合理性
玉木代表の指摘:一貫性なき「猫の目農政」
国民民主党の玉木代表は、政策の一貫性の欠如と税金使用の効率性を問題視しています。
- **政策の一貫性:**前政権で米価抑制のために備蓄米を放出したにもかかわらず、現政権は「おこめ券」で消費者支援を実施。
- **税金の重複投入:**コメ価格を高く維持するための減反政策(間接的な税投入)と、「おこめ券」による消費者支援(直接的な税投入)の両方で税金が使われている。
- 結果:「大臣が代わるたびに方向性が変わる」長期的な見通しのない"猫の目農政"化を懸念。
政策ツールの効率性比較
おこめ券の流通コスト問題
券の額面価値: 米 440円分
流通経費等: + 60円
総額面: 500円
※額面価値に対する流通経費の上乗せが非効率議論の一因。
