ノバク・ジョコビッチ、上海マスターズでの大番狂わせ:データで深掘りする、38歳の敗因の背景
2025年10月11日、ロレックス・上海マスターズ準決勝で歴史的アップセット
準決勝:ノバク・ジョコビッチ vs バランタン・ヴァシェロ
ノバク・ジョコビッチ
世界ランキング5位
38歳
3-6, 4-6
バランタン・ヴァシェロ
世界ランキング204位
26歳
38歳以上の選手の現状:トップ100にいる選手は?
2025年10月時点のATPランキングトップ100を見ると、38歳以上の選手が驚くほど少ないことがわかります。これは、この年齢でトップレベルのパフォーマンスを維持し続けることがいかに稀かを物語っています。
| 年齢層 | ATPトップ100にいる選手数 (2025年10月) | 主な例 | | --- | --- | --- |
| 38歳以上 | 2名 | モンフィス (39歳), ジョコビッチ (38歳) | | 35〜37歳 | 約5〜7名 | バウティスタ・アグート (37歳), ワウリンカ | | 35歳未満 | 90名以上 | アルカラス (22歳), シンナー (24歳) |
ATP1000大会の肉体的負担
上海のようなATP1000大会は、選手に大きな肉体的負担をかけ、特に加齢による課題を浮き彫りにします。
試合数
ATP1000大会で優勝するには、通常7〜10日間で5〜6試合を戦います。ジョコビッチは準決勝まで4試合を戦いました。
移動距離
選手は1試合あたり平均2〜4kmをコート上で移動し、大会全体では10〜20kmに達します。年間の移動距離は80,000km以上。
時差の影響
ニューヨークから上海へは12時間の時差があり、反応速度の低下や怪我のリスク増加につながります。
回復力の低下:年齢による統計
アスリートは年を重ねると回復が遅くなります。これが、今回のような番狂わせの背景にある重要な要素です。
回復時間
40代では20代の選手と比べて、激しい試合から立ち直るのに2〜3日余計にかかります。
有酸素能力
30歳を過ぎると年間約1〜2%のペースで有酸素能力が低下します。
身体能力
身体能力は20代後半にピークを迎え、その後徐々に低下していきます。
歴代レジェンドたちのキャリア後半
テニス界の伝説的な選手たちの30代後半の記録を見ると、成功は様々ですが、ジョコビッチの軌跡は比較可能でありながらも、挑戦的であることがわかります。
| レジェンド | 30代後半でのGS優勝回数 | 決勝進出回数 (30代) | 備考 | | --- | --- | --- |
| フェデラー | 3回 (35〜36歳) | 8回 | 流れるようなプレーが長寿に貢献。41歳で引退。 | | ナダル | 4回 (33〜36歳) | 10回 | 怪我がちだったが、クレー圧倒的な強さ。 | | サンプラス | 0回 (31歳で引退) | 該当なし | 圧倒的な強さを誇ったが、キャリアは比較的短い。 | | ジョコビッチ (現在まで) | 1回 (36歳) | 継続中 | 通算24勝。2025年は弱点が見え始めている。 |
年間の試合負荷:38歳で戦い続けることの過酷さ
38歳でフルシーズンを戦い抜くのは過酷で、多くの選手が健康を維持するために年間の出場試合数を減らしています。
トップ選手の年間出場
トップ選手の年間出場大会数は平均15〜25大会。若い選手の方が多く出場する傾向があります。
ジョコビッチの2025年
出場は10〜12大会程度で、年間試合数は約40〜50試合と見込まれます。
戦略的休養
パリ・マスターズなどの大会を欠場し、負荷を軽減していることが確認できます。